「散り椿」葉室麟著。先に映画を観るか、それとも小説を読むか。

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こんにちは、たどんです。
今回は、最近映画にもなった時代小説「散り椿」葉室麟著のご紹介です。

簡単なあらすじ

元扇野藩士・瓜生新兵衛、上役の不正を訴えたが聞き入れられず、妻・篠とともに18年前に出奔した。
妻・篠が死に、新兵衛が藩に帰ってきた。
新兵衛は、扇野藩城下にあった一刀流道場の四天王の一人であった。
その四天王とは、榊原采女、坂下源之進、篠原三右衛門、そして新兵衛。
榊原采女は、新兵衛が訴えでた不正の張本人榊原平蔵の息子。出世頭で今では藩の重役をしている。
坂下源之進は、妻・篠の実妹里見の亭主。
篠原三右衛門は、里見の息子・坂下藤吾の許嫁・美鈴の父。
新兵衛は、妻・篠の遺言「(坂下家の)庭の椿を自分の代わりに見てほしい」を果たすため帰郷したというが・・・。
過去の不正をめぐり、四天王の思惑も入り乱れ、そこに扇野藩家老石田玄蕃と現藩主の後継者の権力争いが錯綜する。
また、妻・篠は、新兵衛と夫婦になる前、四天王の一人榊原采女と思いを寄せ合っていたが、その本心は?
藩の争いに巻き込まれた新兵衛の活躍もさることながら、妻・篠、その妹・里見、坂下藤吾の許嫁・美鈴、榊原采女の母・滋野、登場する女性の揺れ動く心情やいかに。
 
とまあ、何がなんだかよくわからないでしょうが、ネタバレさせずに詳しくあらすじを語るなど、私にはできません。
後は読んでからのお楽しみ、ということで。

「散り椿」の読みどころ

読みやすい時代小説

時代小説というと、当時の時代背景を語るうえで、どうしても当時の言葉・用語が多く出てこざるを得ません。
それが我々現代人には時代小説の今ひとつ分かりづらいところです。
極端な話、襖(ふすま)、障子(しょうじ)、といった言葉でさえ、今の若い人にはピンとこないのではないでしょうか。
本作品は、まあ襖や障子などという言葉は出てきますが、他の小説に比べれば、若者が読んでもわかりやすく書かれていると思います。
これも作者の、少しでも若い人にも時代小説を読んで欲しいという気持ちの表れではないでしょうか。
背景描写や言葉づかいにも、できるだけわかりやすく、との配慮がなされているような気がします。

女性の心理描写が見事

著者葉室麟、時代小説作家として名前は聞いたことがありました。
本書を読み終わってもなお、著者は女性だろうと思っていました。
「りん」という著者の名前が私に早とちりさせていたのでしょう。
私が、著者は男性だとわかったのは、このブログを書くためにネットで著者のことを調べたときです。
本書を読んでいて、こまやかな女性の心理描写、さすが女性作家だな、と思い込んでいました。

剣術シーンがくどくない

時代小説ですから、当然剣術で争うシーンは出てきます。
また、必殺剣のようなものも出てきますが、文章がうまいからかすんなり読めます。
かといってあっさりし過ぎということもありません。

映画化

2018年9月、公開になりました。
主演はご存知、V6の岡田准一。
アイドルとはいえ、その演技力には定評があります。
葉室麟の作品は、直木賞受賞作「蜩ノ記(ひぐらしのき)」も数年前に映画化され、その主役も岡田准一がつとめています。
さて、「散り椿」ですが、主演の岡田准一を固める配役がすごい。
榊原采女〜西島秀俊
坂下里美〜黒木華
篠原三右衛門〜緒形直人
平山十五郎〜柳楽優弥
田中屋惣兵衛〜石橋蓮司
榊原滋野〜富司純子
石田玄蕃〜奥田瑛二
ナレーション〜豊川悦司
実を言うと私はまだ見てません。
「蜩ノ記」とあわせて是非見たいと思っています。

著者葉室麟について

葉室麟は、50歳過ぎから創作活動を始め、文壇デビューから10年余り、66歳で亡くなってしまいました。
惜しい小説家を亡くしたと思います。
しかし、10年という短い年月の間に、次から次へと作品を世に出しました。
火山の地下でマグマが少しずつ溜まっていたのが、噴火とともに一挙に吹き出したような感じです。
主な作品で、各種文学賞を受賞したものとして
2005年〜「乾山晩愁」歴史文学賞受賞。
2007年〜「銀漢の賦」松本清張賞受賞。
2012年〜「蜩ノ記」直木賞受賞。
2016年〜「鬼神の如く 黒田叛臣伝」司馬遼太郎賞受賞。
があります。

定年後に読みたい本

同書によれば勢古浩爾氏は、本作「散り椿」は読んでないようですが、「銀漢の賦」、「いのちなりけり」、「秋月記」、などは読んでおり、その作風に新鮮さを覚えたようです。
ただその後の作品についてはあまり良い印象は持ってないようです。
私は、勢古浩爾氏の「定年後に読みたい文庫100冊」に名前の上がった作品はなるべく読むようにしたいと思っていますが、別に固執しているわけではありません。
勢古浩爾氏と嗜好が全て一緒ということはありえませんから。
その時々で、読む機会に恵まれた本は何でも読んでいく、これが基本スタンスです。

まとめ

本作品は、普通の時代小説に見られるような刃と刃のぶつかり合いがメインの物語ではなく、推理小説的な謎解きの要素も持ち合わせた、ちょっと変わった時代小説のような気がします。
私の読書記録には、「妻・篠と藩を出た瓜生新兵衛が、妻の死後、妻の頼みで藩に戻り、藩政改革に一役買う、という物語。ちょっと強引な設定ではあるが、女性の心情の揺れ動くさまがよく描かれている。たまにはこういう時代小説もいいかな?」とあります。
興味を持たれた方はぜひご一読を。

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