こんにちは、たどんです。
今回は、まだ若手の作家と言ってもいいでしょう。
藤崎翔著「神様の裏の顔」を紹介します。
よくこんなストーリー展開を思いつくもんだ、と感心する作品です。
単なるどんでん返しではなく、大どんでん返し。
文体も読みやすく、スラスラ読めると思います。
簡単なあらすじ
神様のような善人だった元教師がなくなった。
故人を悼(いた)み、お通夜に弔問に訪れた大勢の教え子や知人が悲しみにくれる中、読経、焼香と式がすすむ。
個人を偲んで思い出にふける弔問客のうち、故人の生前の行状に疑問を投げかける者が一人・二人と現れる。
読経・焼香の後、お清め(通夜ぶるまい)の席で、ふとした拍子でさほど面識のない者同士、さらに喪主を務める故人の娘も巻き込んで、故人の生前の行状が暴かれていくが・・・
はたして故人は神様だったのか?
簡単すぎるあらすじで申し訳ありません。
詳しいストーリーは読んでからのお楽しみ、また、あまり詳しく書くとネタバレにもなりかねない、ということで、私はいつもあらすじはごくごく簡単にすませています。
「神様の裏の顔」の読みどころ
いい意味で裏切られた大どんでん返し
どうしたらこういうストーリー展開を思いつくんだろう?
こういった本を読めば読むほど「私は小説家にはなれないな。」とつくづく思います。
自分の頭で、悩みに悩んで、苦しんで、奇抜なストーリーをひねり出す。
それより頭のいい作家が書いた小説を読んだほうが楽ですね。
ラストが大どんでん返し、というミステリーは結構多いのですが、その理由付けに乏しい小説がたまにあります。
本書は理由付けもバッチリ、納得できます。
よく練られた展開だと思います。
読みやすい文章
文章によけいな装飾がなく、会話調で書かれているため、サラサラ読めます。
著者は元芸人、というだけあって、会話調の文章はお手のもんです。
登場人物がそれほど多くない
登場人物が多すぎると、誰が誰だか頭がこんがらがってきます。
年のせいですかね?
「神様の裏の顔」は、登場人物が7人なので、わからなくなることはありません。
一夜一場所で完結
「神様の裏の顔」は、お通夜の晩だけで物語が完結します。
また、場所についても、お通夜が営まれている斎場で完結します。
巻末で解説の吉田大助氏も書いていますが、本書を読んでいて、昔のアメリカの映画「十二人の怒れる男」を思い出しました。
この映画の舞台は、犯人の有罪・無罪を決める陪審員の会議が行われる小さな部屋だけです。
ささいな疑問も徹底的に追求していく一人の陪審員の意見から、残る十一人の評決が変わっていく過程も見どころですが、長時間に及ぶ会議の始まりから終わりまでで、小さな会議室だけで映画が完結します。
映画「十二人の怒れる男」についてはまた別に紹介したいと思っています。
「神様の裏の顔」を読んだきっかけ
私は、YouTubeが好きでよく見ています。
特に書評動画というのでしょうか、「ペキョ×2動画のP・アキオさん」、「文学YouTuberのベルさん」の動画はよく見ます。
私は、自分で本を選ぶと、どうしても年相応というか自分好みにかたよってしまいます。
そこで書評動画などをたまに見て、最近の面白い本の情報を収集しているのです。
「神様の裏の顔」も、P・アキオさん、ベルさん、お二人が強くおすすめしていたので読みました。
電子書籍kindleで読んだのですが、面白かった。
年寄りは、若い人の言うことを聞くもんですね。
みなさんもたまにはお二人の動画を見てみることをおすすめします。
まとめ
「神様の裏の顔」は著者のデビュー作で、第34回横溝正史ミステリ大賞も受賞しました。
昔から、何か物を買うときには、いわゆる定番商品というのを買っておけばまず間違いない、と言われます。
有名な横溝正史ミステリ大賞を受賞するような作品です。
まず間違いなく面白い作品です。
もし機会があれば読まれることをおすすめします。