勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」(草思社文庫)
著者の勢古浩爾さんは、本書の前に「定年後のリアル」、「定年後7年目のリアル」という、定年後の生き方についての著書があります。
私も順にそれらの本を読み、今回また勢古浩爾さんが本書を出したのですぐ購入。
著者は私よりいくつか歳上なんですが、その文体は飾るところがなく、自分の考えや行動を正直に書き記しているのが好きで、新刊を出すと必ず買って読むようにしています。
定年後は面白い本だけ読めばいい!
この本は、定年後とにかく面白い本をだけ読みたい。
でも何を読んだらいいのかわからない。
そんな人にオススメです。
時間がない。
60歳で定年、平均寿命の80歳まで生きるとして約20年。
しかし体の老化には目(視力)の老化も伴う。
私はまだ60代前半ですが、長い時間読書するのがつらくなってきました。
したがってまだ20年ある、といっても今後読書時間・読書量はそれよりもかなり少なくなるでしょう。
だからこそ、自分にとって面白いと思える本だけ読みたい。
この年になって、教養のための読書、なんて関係ないんです。
楽しければいい。もっとわがままになりましょう。
著者勢古浩爾との共通点
私は、この著者とは共通点が多いようです。
例えば、
・ 読むときは本のカバーは外す。裸にして読む。
・ まともに本を読み始めたのは24,5歳位のころ。(私は20歳くらい。著者に勝った!)
・ 池波正太郎は好きだが「梅安」シリーズは好きではない。
その他にも似たところがたくさんあります。
著者の境遇が、定年退職後、特にこれといって趣味もなく、夜型人間で、本を読むくらいしか楽しみがない、というところも私と同じです。
でも、著者の文章力にはかないません。
この年になって、こうしてブログなるものを書くようになってよくわかりました。
他人の書いた文章を読み、批評をするのは簡単ですね。
自分で書くのは難しい。
ただ、著者の意見に賛成しかねるところもあります。
それは
・ 電子書籍は本ではない。電子書籍は使わない。老いぼれても使わない。
という点です。
以前は私も、パラパラっとめくる本の感触、読んだあとに本棚に飾りそれを見て自己満足にひたる、など紙の本にこだわりを持っていました。
しかし今はもうそこまでこだわりはありません。
というのも40歳を過ぎてからだんだん老眼がすすみ、最近では老眼鏡なしでは本も読めなくなってきました。
一度電子書籍を経験すると、文字の大きさが変えられ、夜ベッドに入っても電気スタンドは不要なところなど、この便利さに降参してしまいました。
「定年後に読みたい文庫100冊」の内容
この手の本の内容紹介はあまり必要ないと思います。
というのも、著者が読んで、これは面白い、おすすめ、と思った本を100冊あまり紹介している本だからです。
ここでその100冊を紹介しても仕方ありません。
今さら難しい学問に挑戦する気もない。
とにかく自分の好みにあった面白い本だけ読みたい。
そんな人におすすめなのがこの本です。
本の帯には「選考の基準はたった一つ。読んで面白いかどうかだけ。」「こんな歳になって苦しむだけの読書はもうごめんである。」とあります。
著者が読んで面白いと思った文庫本が100冊以上、ジャンルとしては、ノンジャンル、時代小説、戦記物、ミステリー小説、などなど。
著者が紹介している本のうち、過去私が読んだことのある本もちらほらあります。
確かに私が読んでも面白かった。
私と著者の好みはある程度似ているのかもしれません。
私は、本書の書評を見て「面白そうだ」と思った本に付箋を付け、読んだらその付箋を外すようにしています。
正直に言うと、著者が推薦する本でも、私の好みに合わない本は何冊かありました。
でも、古典や哲学書など、いわゆる人生の必読書といわれるような本と違って、読んでも全くわからなかった、というものはありません。
まとめ
著者の「定年後」シリーズ、「定年後のリアル」、「定年後7年目のリアル」、そして「定年後に読みたい文庫100冊」、いずれも面白く気楽に読めます。
「金」「健康」「生きがい」という老後の不安を抱えつつ、毎日を読書と若干の執筆活動をしながら淡々と生きる。
私には、著者のように文才などないので、生活のため、仕方なく再就職しましたが、「60歳までギッチリ働いたんだ、もう好きなことをして生きてもいいだろう。毎朝満員電車に乗りたくない。人間関係などのシガラミももうたくさんだ。」これが本音です。
私は、この勢古浩爾という著者がうらやましいし、その生きざまが好きです。
コメント