ピーター・シャビエル著「イエスの涙」十字架の謎に迫る力作。

読書
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こんにちは、たどんです。
今回は、ピーター・シャビエル著「イエスの涙」の紹介です。
キリスト教徒ではないし、あまりキリスト教に詳しくない、という方でも十分楽しめる小説です。

簡単なあらすじ

十字架を冒とくする行為、十字架を見て気分が悪くなったりと、十字架を嫌悪する事案が世界中で頻発するようになった。
「十字架嫌悪シンドローム」と名付けられたこの現象を解明すべく、キリスト教会が宗派を超えて、その対策に乗り出すことになった。
日本の山本神父も対策会議に参加していたが、深まる謎、解明作業は難航を極めていた。
ちょうどそんな時、日本のシスターの身に起きた現象が報告された。
「十字架嫌悪シンドローム」解明の鍵となるやもしれぬその情報を受け、山本神父が調査に乗り出すことになる。
また、教皇バックス一世は、キリスト教の教理を根底からくつがえすような真実に直面することになる。
日本の京都とバチカンを舞台にしたイエス・キリストと十字架の謎に迫る物語。

無宗教者でも面白い

私は、キリスト教信者ではありません。
どちらかといえば無宗教者です。
神様の存在を決して否定するわけではありませんが、特にこの宗教という宗教的主張はありません。
したがって、キリスト教関係の知識はあまりありません。
そんな私でも面白く読めました。

キリスト教の勉強になる

作者ピーター・シャビエルは、キリスト教徒の家庭で育ち、洗礼を受けたクリスチャンで、日本とアメリカでプロテスタントとカトリックの神学を学んでいるそうです。
道理で、キリスト教の知識がわかりやすく書かれており、また、日本が舞台になっているのもうなづけます。
よく、未知の分野を勉強するときには、小説やマンガから入ると理解しやすい、と言われます。
そしてまた本書は、外国だけでなく、日本も舞台になっているので、物語に入っていきやすい。

私とキリスト教

私は、無宗教ですが、宗教に全く興味がないというわけではありません。
実際、妻と一緒に御朱印を集めたりしており、神社やお寺の荘厳な雰囲気も大好きで、お参りすると心が癒やされます。
ただ、キリスト教というのはあまり縁がなく、教会に礼拝に行ったことなどありません。
縁があるとすれば、知人の結婚式で教会に何度か行ったことがあるくらいです。
そんな私でも、自宅に1冊聖書があり、社会常識としての知識を得るため、と何年か前に通読しました。
何度も精読したわけではないので、内容はほとんど忘れています。
聖書には、大雑把に「こんな事が書かれていたなあ」と頭に浮かぶくらいです。
皆さんも自宅に1冊いかがですか?
本棚に箔が付きますよ(ほんの冗談です)。

全人類の罪を背負って十字架にかけられた?

私の乏しいキリスト教の知識では、イエス・キリストは
・ 全人類の罪を背負って十字架にかけられた
・ それが神様のご意思であった
という理解でした。
ところが本書では、イエス・キリストは
・ 地上に神の国を建設するために遣(つか)わされた
・ 十字架に架けられたのは神のご意思ではなかった
というのです。
ということは、イエス・キリストは、苦しみ、悲しみのうちに十字架にかけられ、神の国建設のこころざし半ばにその生涯を終えた、ということになります。
私がアホなのか、作者の文章力が優れているのか、読みすすめるうちに「これはノンフィクションなのでは?」と思うようになってしまいました。

私の読後感

私がつけている読書記録には
イエスの十字架の磔による死について、イエスは必然で死んだのではない、という説を展開する小説。本当かいな。やはり小説だな。クリスチャンではないのでよくわからん。でもだんだん面白くなってきた。
最後はハッピーエンド。なかなか面白かった。今度は同じ作者の「マリアの涙」も読んでやろう。
とまあ、実に小学生みたいな感想を書いています。
でも、これが本当の読後感、正直な感想です。

まとめ

キリスト教に関する小説として有名なものに「ダ・ヴィンチ・コード」や日本でも遠藤周作の「沈黙」などがあります。
ただ、私は別に宗教的な本を好んで読む方ではありません。
読み終わってスカッとするスポ根物や痛快時代小説などが好きです。
つまり、ハッピーエンドじゃないとあまり読む気になりません。
その点、本書は結構おすすめです。
興味のある方は是非読んでみたらいかがでしょうか。

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