隆慶一郎著「捨て童子・松平忠輝」波乱万丈の生涯を爽やかに描く。

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こんにちは、たどんです。
今回ご紹介するのは、隆慶一郎著「捨て童子・松平忠輝」です。
著者の隆慶一郎は私の好きな作家の一人です。
明るい作風で、読後感も爽やかです。
主人公松平忠輝は、どちらかといえば歴史に埋もれていた人物です。
そんな人物にスポットライトをあびせ、世に出す。
著者の着眼点と筆力は素晴らしいと思います。

本書の簡単な内容

主人公の松平忠輝は、徳川家康の六男として江戸城で生まれる。
その容貌が怪異であったため、生まれるとすぐ家康から「捨てよ!」と命じられる。
「鬼っ子」と呼ばれた忠輝は、操り人形師などの旅芸人の一団である傀儡子(くぐつし)や周囲の人々に支えられ、成長とともに、武術などその天性の才能を開花させていく。

傀儡子(くぐつし、かいらいし)

隆慶一郎の作品には、よく傀儡子が登場します。
そしてその傀儡子が全国ネットの強固なつながりを持つ、闇の組織のような一団として描かれています。
私は、恥ずかしながら、傀儡子という言葉、隆慶一郎の作品で初めて知りました。
傀儡子の歴史は古く、平安時代までさかのぼり、木の人形を操る、今で言う操り人形を生業とする部族のことだそうで、それが後代になると旅回り芸人一座を総称して傀儡子と言うようになったそうです。
傀儡子は実在したようですが、傀儡子が全国ネットの情報網を持ち、忠輝が傀儡子に気に入られ、忠輝の行く先々で傀儡子の助力を得た、というのは隆慶一郎の創作かもしれません。
しかし、本書は歴史の教科書ではありません。
本書でも傀儡子の存在が忠輝の波乱の生涯に色を添えています。

徳川家康と徳川秀忠

忠輝は、徳川家康と徳川秀忠に嫌われていた、という設定です。
これが事実かどうかは別として、史実に現れた忠輝の処遇を見るとまんざら間違いでもないようです。

徳川家康

忠輝の実父です。
徳川家康は、忠輝の容貌を嫌った、という記録が多くあるようです。
一体忠輝の容貌とはどんなものだったのでしょう。
写真が現存してるわけでもないのでなんとも分かりません。
ただ、私も、自分で言うのはなんですが、容貌怪異とまではいきませんが、決して人様に堂々と見せられるような容貌ではありません。
若い頃、ハンサムな格好いい同年代の男性を見ると、「俺もあの様な顔立ちだったら幸せだったろうな。」と思ったことはあります。
私の死んだオヤジは、こんな私を大事に育ててくれました。
私のオヤジは、人格的に徳川家康より上です。
オヤジ、ありがとう。

徳川秀忠

2代将軍徳川秀忠。
この男もよくわからない男です。
徳川家康は、この秀忠をあまり有能な男とは見ていなかったようです。
それにしても、秀忠にとって忠輝は異母弟にあたります。
そのうえ秀忠は2代将軍。
弟に対してもっと寛大な心があっても良かったのではないか、と思います。
特に理由はないが、忠輝のことが嫌いだったのか、それとも忠輝には秀忠を殺害して将軍の座を狙うという野望があり、それが秀忠に発覚したか、などとあらぬことを考えてしまいます。
ただ、大阪夏の陣の時、忠輝の軍勢が大坂に向かって進軍していたとき、徳川秀忠の家臣の軍勢が忠輝の軍勢を追い越したため、秀忠の直属の旗本を斬り殺した、ということがあったそうです。
当時これは追い越したほうが悪く、忠輝軍の処置は適法だったようです。
しかし、秀忠は、このことをずっと恨みに思っていたのかもしれません。
史時代小説をいろいろ読んでますが、2代将軍徳川秀忠のことを良く書いている小説はあまり見たことがありません。

太く短く(ネタバレあり)

松平忠輝は、天正20年(1592年)生まれ。
天和3年(1683年)92歳でその生涯を閉じます。
当時としては、奇跡的な長寿だったと思います。
しかし、元和2年(1616年)、忠輝は兄・秀忠から改易を命じられます。
その時忠輝は24歳。
したがって、忠輝が表舞台で活躍したのは、成人するまでを差し引くと10年にも満たなかった、ということになります。
改易以降は無為の生活を送り、表舞台にあらわれることはありませんでした。
まさに、太く短い、波乱万丈の生涯であったと思います。
そして、驚くべきは隆慶一郎の筆力です。
たった24年間を全3巻という長編小説に仕立て上げる。
ただ長いだけじゃない。
最後まで読ませます。
隆慶一郎氏に脱帽!

隆慶一郎のおすすめ本

1989年に、66歳で亡くなられた隆慶一郎。
わずか5年間の作家活動にもかかわらず、多くの作品を残してくれました。
なかでも私のおすすめは
・ 吉原御免状
  主人公と裏柳生の死闘を描く
「吉原御免状」隆慶一郎著。時代小説好きなら是非読みたい。
隆慶一郎という時代小説の作家をご存知ですか?60歳を過ぎてから時代小説の作家デビュー、約5年という短い間でしたが、次から次へとヒット作品を生み出しました。私の大好きな作家の一人です。「吉原御免状」読みだしたらもうとまりませんよ!
・ 一夢庵風流記
  ご存知「花の慶次」前田慶次郎の物語
・ 影武者徳川家康
  あの徳川家康が本当は関ヶ原で死んでいたのを知ってますか?
です。
時間つぶし、暇つぶしに、なんて言いません。
時間が足りなくなってしまいますよ。

まとめ

92年の生涯のうち、表舞台で華々しく活躍するのは24歳まで。
この様な人物の生涯を描くとどうしても後半は暗い物語になってしまいます。
しかし隆慶一郎は違います。
彼の作品は、どちらかといえば全体的にポジティブ。
いつも前向きで明るいんです。
私がつけている読書記録でも
「資料に基づいた史実を織り交ぜながらストーリーを展開していく手法は司馬遼太郎に似ているが、隆慶一郎作品は、どれも最後が暗くないのが良い。」
と書いてあります。
読み終わった時、暗く落ち込んでしまうような小説は勘弁してもらいたいですね。
その点、隆慶一郎作品はどれもおすすめです。
 

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