こんにちは、たどんです。
今回は、隆慶一郎(りゅう けいいちろう)著「吉原御免状」の紹介です。
結論〜面白い。読まなきゃ損です。
「吉原御免状」隆慶一郎著。時代小説好きなら是非読みたい。
ではまず簡単なあらすじから(ネタバレしない程度にごく簡単に)
「吉原御免状」のあらすじ
主人公の名は松永誠一郎、天皇のご落胤で、小さいころからあの宮本武蔵に育てられた、という設定。
宮本武蔵の用を果たすため江戸の吉原に赴いた松永誠一郎は、裏柳生から吉原遊郭を守るため、宮本武蔵直伝の剣をふるい活躍する、という物語。
小説では、当時吉原が、あたかも治外法権の地区であったかのように描かれているが、これはちょっとオーバーであろう。
しかし、実際吉原の門を入るときには、武士といえども大刀は外さなければならなかったようである、
また、傀儡子(くぐつし)一族が吉原を取り仕切っていたという設定である。
傀儡子というのは、簡単に言うと、流浪の人々や旅回り芸人のことで、著者はこの傀儡子が全国的組織であったかのように描いている。
余談ではあるが、後に著者によって書かれた「捨て童子・松平忠輝」でも、この傀儡子が松平忠輝を影で支える重要な役割を持つ。
「吉原御免状」の読みどころ
まずは裏柳生との闘い。
松永誠一郎の宮本武蔵直伝の剣が冴えます。
次に、松永誠一郎と遊女の色恋沙汰。
著者は、当時の遊女の性の技巧までよく研究しているようです。
そして、「神君御免状」の謎。
これは読んでのお楽しみです。
ネタバレになってしまうので、この辺にしておきます。
現在の吉原
吉原といえば、江戸時代当時も今も、日本を代表するソープ街です。
場所は、東京都台東区千束4丁目、最寄駅は地下鉄日比谷線の三ノ輪駅から徒歩10分位でしょうか。
店舗数も約140店舗、と日本で一番です。
次にソープの多い地区が、福岡の中洲で約70〜80店舗、というのですから、日本最大のソープ街といっても間違いではありません。
以前知人が、「北海道のススキノのソープ嬢や、四国の高松のソープ嬢から、『東京吉原のソープから流れてきた。若い時は吉原で働き、ある程度の年令になると皆地方へ流れていく。』と聞いた。
初めは吉原で修行し、技を磨き、そのあと地方で働くようになるのかな?」と話していました。
やはりソープと言ったら吉原なのかもしれませんね。
トルコ風呂とソープランド(余談)
私以上の年配の人であれば、ソープというよりも「トルコ風呂」といったほうがピンとくるのではないでしょうか。
私が30歳位までは、性風俗店である個室付特殊浴場のことを、「トルコ(トルコ風呂を略して)」、と言っていました。
ところが、トルコ(国)からのクレームにより、「ソープランド」という名称になったようです。
確かに、トルコ人にとってはあまり気分の良いものではありませんね。
著者・隆慶一郎について
隆慶一郎が小説家として名乗りを上げたのが、60歳を過ぎてからでした。
その第1作がこの「吉原御免状」です。
この記念すべき処女作「吉原御免状」は直木賞候補にもあげられました。
もともとは脚本家(池田一朗)でした。
脚本家として、日活映画「陽のあたる坂道」、「にあんちゃん」、その後「鬼平犯科帳」、「長崎犯科帳」、「破れ奉行」、「隠密奉行」、「大忠臣蔵」、「右門捕物帖」など、数多くの時代劇の脚本を手がけ、これが時代小説の下地になっているのでしょう。
ところが、作家活動も約5年で早逝、誠に惜しい人をなくしました。
隆慶一郎の他のおすすめ作品
隆慶一郎の「吉原御免状」以外の代表作として、「影武者徳川家康」、「一夢庵風流記」、「捨て童子・松平忠輝」などがあります。
もちろん全部読みました。
はっきり言って、全部おすすめです。
まとめ
私の読書記録には、「吉原御免状」の感想として、
「宮本武蔵に育てられた一人の剣士が物語の主人公。こういう本を読むと、とても俺なんか小説家にはなれないなあ、と思う。天皇の子供、傀儡子、家康の影武者、などなど、一つの小説の中に幾つものストーリーが盛り込まれる。面白く読ましてもらった。」
などと、小説家になるつもりなど少しもないくせに、好き勝手なことを書いてます。
隆慶一郎著「吉原御免状」。
時代小説が好きな方のほとんどは既に読まれたと思いますが、もしまだ読んでない、という方があれば、是非読んでみることをおすすめします。
全1冊で、それほど長くはない小説なので、その気になれば1日で読める分量です。
日本でも有数の読書家である松岡正剛氏も、そのサイト「松岡正剛の千夜千冊」の中で絶賛していますよ。