こんにちは、1日1回はコンビニを利用するたどんです。
今回は、芥川賞受賞作「コンビニ人間」村田沙耶香著のご紹介です。
まずは簡単なあらすじから。
簡単なあらすじ
子供の頃から変わった子だった。
公園で死んでいた小鳥を焼き鳥にして食べよう、と言ったり、男の子たちのケンカをスコップで殴って止めようとしたり。
古倉恵子36歳。恋愛経験無し。もちろん独身。大学時代から始めたコンビニのアルバイトを18年続けている。
コンビニのアルバイト店員には仕事のマニュアルがあり、そのマニュアルどおり仕事をしていれば、周囲からも「普通の人間」と認められ、普通の生活を送れることを知った。
自分からアクションを起こさなければ、異常な言動・行動をすることもない。
そんな生活に満足していた彼女だが、周囲からは「結婚しないのか」「ずっとアルバイトをしてるのか」などと言われるようになる。
そんな時、ひょんなことから、やはり彼女と同じ社会に適合できない男性白羽と同居するようになるのだが・・・。
今、コンビニが熱い
今、本書とは別の意味でコンビニが話題になっています。
私は、コンビニとはかなり縁があります。
というのも、私の娘夫婦は、コンビニのアルバイトで知り合い結婚しました。
また私は、平日は1日に1回はコンビニを利用しています。
朝、勤務先近くのコンビニに毎日立ち寄り、お茶、ヨーグルト、タバコ、などを買いますので、毎日1,000円前後の出費です。
コンビニ抜きの生活は考えられなくなっています。
そのコンビニですが、私は、かなり以前から娘夫婦に、その経営の苦しい実情をよく聞かされていました。
みなさんもよくご存知だと思いますので詳しくは述べませんが。
24時間営業がきつい
昔は「セブンイレブン」、朝7時から夜11時まで営業、ということだったのではないでしょうか。
いつ頃から24時間ぶっ通しで店を開けるようになったのか。
娘夫婦のいたコンビニも、オーナーはいつも人の工面に苦労していたそうです。
手当がつかなければオーナーが店番するしかない。
店の地域性にもよるのでしょうが、夜中の3時4時に多くのお客さんが来店するお店なんてそう多くないと思います。
最近やっとオーナーが立ち上がり、大手コンビニチェーンに対し、申し入れをし始めましたが、さてどうなるやら。
ロイヤリティがきつい
以前は脱サラから一国一城の主を夢見て、コンビニを始めた人も多かったそうです。
でも、現実は、サラリーマン以上にきつい仕事をしているにもかかわらず、休みは取れない、収入は低い、厳しい現状だそうです。
競合店が厳しい
私の自宅の最寄駅、50メートルも離れていない場所に、同系列のコンビニ「F」が2店営業しています。
大手の「S」「F」「L」と違う系列のコンビニならまだしも、同系列では品揃えも同じでしょう。
会社としては何を考えているのか、不思議でたまりません。
各店舗の売上いかんにかかわらず、ロイヤリティが余計に入るので、違い系列の店舗ができるくらいなら、自分の系列店舗を立てよう、ということなのでしょうか?
私の意見
まず営業時間ですが、これは各店の時間ごとの来客数がデータ化されているはずです。
そのデータをもとに、地域の特性に合わせて営業時間を柔軟に決めてもよいのではないかと思います。
営業時間の問題が多少緩和されれば、人的な問題もかなり解決されるのではないでしょうか。
そして、すぐ近くに同系列のコンビニをオープンさせる問題。
もうこれは企業のモラルの問題ですね。
いい加減金儲け主義はやめてもらいたいですね。
実際現場で苦労して働いているオーナーたちのことも少しは考えてほしいもんです。
なお、これも余談の余談ですが、私は毎朝利用している都心部のコンビニ。
店員さんが毎朝4〜5人はいますが、全員外国人です。
多少日本語がおぼつかないところはありますが、皆一生懸命に働いています。
驚いたことに、最初はマニュアル通りだった外国人店員さんも、今では3人の店員さんが私の顔を覚えてくれ、毎朝マニュアルにない会話もしてくれます。
読書嫌いの娘に本書をあげてみた
うちの娘はほとんど読書をしません。
昔からスマホは何時間でも見ていますが、本は読みません。
今回「コンビニ人間」を読んだ後、思いついて本書を娘にあげてみました。
本書を娘にあげてからもう数ヶ月経ちますが、まだ読んでませんし、まだ読む気も起きないそうです。
自分のやってた仕事だから、私以上に内容もよく分かるし、面白いんだけどな、と思ったのは私の独りよがりでした。
本書を読んだ率直な感想
芥川賞の選考の際、「面白い」と非常に高い評価をする人もいれば、逆の人もいたそうです。
また、書評家の意見も結構割れています。
私の率直な感想は、本書は「面白い」というよりも「記憶に残る」本です。
ページをめくる時間も惜しいくらい次が読みたい面白い本というのはいくらでもあります。
私には、本書を読みながら、この先どうなるのだろう、という興味は覚えますが、ページをめくる時間も惜しい、というほどではありませんでした。
ただ、主人公のような「マニュアル人間」は本当にいるかも知れない。
いたら怖いな、気味悪いな、というのが率直な読後感でした。
今でもコンビニに行くと、時々ではありますが、本書の主人公のことを思い浮かべてしまいます。
まとめ
今回も、書評というジャンルからは少しかけ離れてしまいました。
まあ、私のブログは書評にこだわらない、というのが一つの売りだと思っています。
分量もさほどないので、サラッと読める本です。
本書を読んだ後コンビニに行くと、今までさほど気にもならなかった店員さんを、じっくり観察するようになりますよ。