「定年ゴジラ」定年前に読んでおきたい1冊です。

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読書
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こんにちは、たどんです。
今回ご紹介するのは、日本語の名手、重松清の「定年ゴジラ」です。
まずは簡単なあらすじから。

簡単なあらすじ

架空のニュータウン「くぬぎ台」。
「くぬぎ台」は開発から30年、そこの住人にも世代交代の波が押し寄せる。
本書の主人公で銀行に勤めていた山崎さんも、開発後そこに住宅を建て、家族とともに長い年月を過ごしてきた。
その山崎さんも定年を迎えた。
会社勤めをしている男性には、現役のころは地域社会との関わりはどうしても希薄になる。
定年後の山崎さんも、地域には友人もなく、とりあえず近所の散歩しかやることがない。
しかし、散歩を通じて、徐々にではあるが、同年配の男性との交流が生まれてくる。
彼らとの交流を通じ、定年後の家族との過ごし方、自分(生きがい)探し、を模索する日々が始まる。

思いつくままに、本書を読んでの感想。[ネタバレ注意!]

執筆時の著者の年齢を知ってビックリ

著者重松清は1963年生まれ、本書が出版されたのが1998年。
ということは、本作品は著者が35歳の時に執筆されたもの。
本当ですか?
定年退職した私が読んでも、定年退職した男の悲哀のようなものが的確に描かれている。
何で35歳の人が、60歳過ぎの人々の気持ちをこんなにもリアルに書くことができるんだろう。
小説家ってすごいですね。

世代交代の波は止められない

主人公の山崎さんは、新宿から1時間余の「くぬぎ台」ニュータウンに家を建てました。
本書が出版されたのが1998年と考えると、主人公の山崎さんは、私より20歳位年上という設定になります。
たしかに私より20歳くらい年上の先輩方は、東京の都心から1時間半前後のところに家を建てていました。
それが私の世代になると、都心から2時間前後のところじゃないと、とてもじゃないけど手が出なくなりました。
今では「くぬぎ台」のように、2000戸のニュータウンなんてそうないでしょう。
しかし、売りに出された区画ごとに、順々に世代交代が始まり、そこで育った子供世代が所帯を持って住み続けるか、または処分するか。
まさに、主人公と同じようにマイホームを建てた私の同僚・知人の住居でも起こっている問題です。
一時期話題になった東京の田園調布、ここも資産家が広い土地に豪邸を建て住んでいました。
ところがいま田園調布にいってみると、広かった土地も区分され、所狭しと小さめな家が建ち始めています。
相続の税金が払いきれないからか、敷地の全部や一部を売却処分したのでしょう。
世代交代の波は、都心の高級住宅街まで押し寄せています。

定年後、朝晩の通勤地獄が懐かしくなるのか

郊外にマイホームを建てると、必然的に毎朝の通勤電車地獄がついてきます。
「それを承知で郊外に家を建てたんだろう?」
と言われればそれまでですが。
最初のうちは、「俺も郊外に一戸建ての家持だ。」と毎朝の満員電車もさして苦にはなりません。
ところが、年とともに通勤そのものが辛くなる。
なるべく座りたい、と少しでも早く家を出て、場合によっては帰りが深夜。
「早く毎日が日曜日になりたい。」と思うようになってきます。
私も40年以上の通勤地獄から間もなく解放されます。
私も定年後、「毎朝の通勤が懐かしい」などと満員電車を懐かしく思うようになるんでしょうか?
まずそれはないと思います。
毎朝毎晩、痴漢に間違われないように両手は上にあげてつり革を持ち、また変な人に絡まれたり、トラブルに巻き込まれないように緊張の連続です。
職住接近!
これが私の若い人へのアドバイスです。

毎日図書館で時間つぶしはしたくない

主人公は、散歩がきっかけとなって地域の人との交流がはじまります。
会社勤めをしていると、地域のことはどうしても女房に任せっぱなしになってしまいます。
したがって、地域の人との交流などもまずありません。
これは仕方のないことです。
要は、定年してから毎日をどう過ごすか。
私は以前から、定年して家にいても粗大ゴミ扱いされるだけだから、毎日図書館やスポーツジムに出勤?して、時間を潰す、これだけはイヤでした。
60歳を過ぎてから、仕事上の必要から、東京の永田町にある国立国会図書館に何度か行きました。
そこにはどう見ても私より年配の方が新聞や週刊誌を眺めている姿をよく見ました。
国立国会図書館には、中に食堂もあるため、居ようと思えば無料で1日過ごせます。
それも一つの過ごし方でしょうが、私は嫌なんです。
幸い私は、好きな読書をしたり、ブログを書いたり、とやることがいくらでもあるので全く退屈はしてません。
趣味を持とう!なんてエラそうなことは言いません。
私のブログが、定年後をいかに過ごすかを考える一つのきっかけになれば幸いです。

「定年ゴジラ」の結末は?[ネタバレ注意!]

私は、人生も小説も、どうせ生きるなら、どうせ読むならハッピーエンド、と思っています。
「定年」を題材にした小説というと、なにか暗いイメージがあります。
しかし、どうか安心してください。
「定年ゴジラ」
ハッピーエンドです。

まとめ

「定年ゴジラ」直木賞候補になったのもうなずける、そんな小説です。
また、「定年ゴジラ」は、テレビドラマ化され、舞台化もされました。
私の読書記録には、「今の私と同じ年の男が主人公で、これといった趣味もなく、なんか寂しい生活かな?(・・・中略・・・)しかし最後は、いわゆるハッピーエンド。」と書いてあります。
私は、「定年ゴジラ」は、定年してから読む本ではなく、定年前に読むべき本ではないか、と思っています。
 

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