「鉄鼠の檻」。現代の陰陽師の「憑き物落とし」をご堪能あれ!

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こんにちは、たどんです。
今回は、京極夏彦著「鉄鼠の檻」のご紹介です。
とはいえ、京極作品の書評を書くのは難しい。
先人の書評を見て、ますます自信がなくなってしまいました。
しかし、京極ワールドを是非皆さんにも味わっていただきたいと思い、私なりに、恥を忍んで書かせていただきます。

簡単なあらすじ

物語は、太平洋戦争が終わった昭和20年代。
雪深い箱根山中の旅館「仙石楼」の庭園に、突然現れた僧侶の死体。
「仙石楼」のさらに山奥にある「名慧寺」の僧侶だった。
たまたま「名慧寺」の取材のため「仙石楼」に居合わせた雑誌記者の中禅寺敦子とその連れ2人、宿泊客で骨董商の今川雅澄、長期宿泊中の久遠寺嘉親、がその騒動に巻き込まれる。
「仙石楼」の事件に臨場した神奈川県警の権力むき出しの捜査手法に腹をたてた久遠寺老人が、京極堂や関口の知人で探偵の榎木津に調査を依頼し、皆でこの不可解な事件の調査のため、「名慧寺」に乗り込む。
「名慧寺」は、戦前から続く禅宗の寺だが、俗世間との交流を絶ち、僧侶だけの独自の世界が作られていた。
すると「名慧寺」では、僧侶が次々と殺される事件が起きる。
本書の主人公、古本屋「京極堂」の店主であり、中禅寺敦子の兄で陰陽師の中禅寺秋彦と友人の作家関口も、仕事で箱根を訪れていたが、次第に「名慧寺」の事件にかかわらざるを得なくなる。
事件関係者への“憑き物落とし”を行なうことにより真相を解明する現代の陰陽師中禅寺秋彦、今回はどんな活躍を見せてくれるのか。

読みどころ

本の厚さに圧倒される

著者の本の特徴でもあるのがその厚さです。
どの小説も、電話帳を無理やり文庫本にしたような厚さです。
本書も800ページを超える大作です。
2分冊、3分冊と分冊すればいいのになあ、と思ったこともあるのですが、読み始めると厚いほうがなんとなく読み甲斐があるんですよね。
ただ、結構ズッシリくるのであまり持ち歩きたくない。
したがって、京極夏彦の作品は主に自宅で読むようにしています。

著者の知識量に圧倒される

著者の作品にはいつもその知識量に圧倒されます。
京極作品では、宗教を題材にしているお話が多いのですが、本書では、主に禅宗です。
禅宗といえば、ひたすら座禅を組み、無我の境地になって悟りを開く宗教では、といういい加減な知識しかなかった私です。
私も少しは勉強になりました。

やはり一番は「憑き物落とし」

陰陽師中禅寺秋彦といえば「憑き物落とし」です。
その京極堂、「憑き物落とし」に臨む時、いつも着替えるのが
・ 黒の着流しに羽織
・ 手には黒の手甲
・ 黒足袋に鼻緒だけが赤い黒の下駄
という黒ずくめの格好です。
これがいいんです。
この「憑き物落とし」の場面になると、もう小説もクライマックスです。
ここからは一気読みです。

禅宗と陰陽師の闘い

禅宗というのは言葉には否定的な宗教で、京極堂の陰陽師は言葉を操る術、と言えます。
その禅宗の僧侶たちに対して主人公がどう立ち向かっていくのか、そのやりとりがまた読みどころなんですね。
対決の前、京極堂も珍しく弱気になります。
その時、京極堂がいつも見下すような態度をとっている関口や榎木津が逆に京極堂を励まします。
3人の友情のようなものが垣間見える、いい場面です。

ここはちょっと・・・

どんな小説でも、自分の趣向にあったパーフェクトの小説というのはありません。
「鉄鼠の檻」は素晴らしい作品なんですが、私が個人的に、「ここはちょっと?」と思う部分もあげておきたいと思います。

設定にやや無理があるかな

例えば最初の死体の状況、これは少し無理があるのではないでしょうか。
あまり詳しく話すとネタバレになってしまうのでクドクドは言いません。
庭園の木の下に、座禅を組んだような格好で僧侶が死んでいる。
周囲には足跡もない。
そこで死んだのではないとしたらどうやって運んだのか?
なんでそうする必要があったのか?
普通の殺し方、死体の状況で良かったのではないでしょうか。
男性の死体というのは非常に重くなる。
一人や二人の人間ではヒョイヒョイ運ぶのは不可能です。

禅宗など宗教に関する記述

日頃あまり接することのない禅宗の知識、確かに勉強になりました。
ただ、その記述の多さに圧倒され、流し読みした部分も多々ありました。
すべて読んで理解するには、私には少し難しすぎたようです。

「名慧寺」に全員集合

京極堂以下が「名慧寺」に結集することになるには、その前からいくつかの伏線があります。
したがって決して無理な設定ではないのですが、なんかうまくいきすぎかな?
でも、小説は面白ければいいんです。
細かいことは気にしない。

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)とは?

1963年生。北海道出身。
高校卒業後、デザイン研究所、広告代理店を経て、デザイン会社を設立。
1991年(平成3年)から1993年(平成5年)にかけてのバブル崩壊により、仕事が激減。
暇な時間を利用し書いたのが「姑獲鳥の夏」。
ダメ元で、とその小説を送ったのが講談社ノベルスの編集部。
受け取った編集者は、夢中になって1日で読んでしまい、有名作家が編集部の力量を試すためのいたずらではないか?、と思ったが、返事をもらった京極も、ドッキリじゃないかと思った、という逸話がある。
その後の京極夏彦の著作活動は凄い。

文学賞の受賞歴

・ 1996年「魍魎の匣」で第49回日本推理作家協会賞(長編部門)
・ 1997年「嗤う伊右衛門」で第25回泉鏡花文学賞
・ 2002年「覘き小平次」で第16回山本周五郎賞
・ 2003年「後巷説百物語」で第130回直木三十五賞
・ 2011年「西巷説百物語」で第24回柴田錬三郎賞
・ 2016年「遠野物語remix」「えほん遠野物語」などで遠野文化賞

映画化

以下の物語が映画化されているそうです。
申し訳ありませんが、私は観てません。
・ 「京極夏彦「怪」七人みさき」
・ 「嗤う伊右衛門 Eternal Love」
・ 「姑獲鳥の夏」
・ 「魍魎の匣」

京極堂シリーズを読む順番

京極夏彦の一連の作品は、どの順番で読めばいいのでしょうか。
京極夏彦の作品をまだ読んだことがない、という方は、素直に刊行年月日順に読めば良いと思います。
例えば、私は以下の順に読むことをおすすめします。
① 姑獲鳥の夏
② 魍魎の匣
③ 狂骨の夢
④ 鉄鼠の檻(今回紹介した作品です)
刊行順です。
というのも、京極作品は、1話完結なんですが、登場人物の関係性など時系列的に繋がりがあるからです。
④の「鉄鼠の檻」以降も、刊行年月日順に読めばOKです。
一応参考まで、
⑤ 絡新婦の理
⑥ 塗り仏の宴 宴の支度
⑦ 塗り仏の宴 宴の始末
⑧ 陰摩羅鬼の瑕
⑨ 邪魅の雫
となるようです。
私はこの間に、「嗤う伊右衛門」などつまみ食いをしていますので、あまり参考にはなりませんね。

まとめ

京極ワールドは、一種独特の雰囲気があり、まず最初にあの本の厚さを見て腰が引け、また難しいタイトル名がとっつきづらくしているようです。
しかし、読んで見れば、単なる謎解きだけではなく、笑いあり、涙あり、人情あり、また頭も良くなります?
私がつけてる読書記録には、「京極夏彦、いつも思うのは本当によく勉強しているなあ、ということ。今回の本も、禅宗についての知識がすごい。本を読んで勉強したのだとは思うが、細かいところは読み飛ばしてしまった。申し訳ない。」と書いてます。
本の読み方は千差万別。
流し読みしようが、飛ばし読みしようが自由です。
自分の本なんですから。
「鉄鼠の檻」
分厚い本ですが、是非軽い気持ちで読んでみてください。
できれば、京極堂シリーズの4冊目にどうぞ。
参考まで、1冊目に読むべき「姑獲鳥の夏」と「鉄鼠の檻」についてリンクを貼っておきます。
もしよければチェックしてみてください。
 

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