こんにちは、たどんです。
前にご紹介した梅棹忠夫著「知的生産の技術」の後に出版され、ベストセラーとなった「知的生活の方法」のご紹介です。
「知的生活の方法」の読みどころ
では、早速内容に入ってまいりましょう。
小さいころから読書好き
著者は幼少のころ、あまり体が丈夫ではなかったようで、その反動なのか、小さいころから活字に多く触れていたようです。
本書を読むと、その読書量に先ず驚かされます。
私が読書の面白さに目覚めたのが高校生のころですから、それだけでも著者とは比べものにもなりません。
また著者は、小学校や中学校のころのことや読んだ本のことなど、実によく覚えてるんですよね。
私なんかまあほとんど本など読んではいませんが、小中学校当時の生活や同級生のことなどほとんど覚えてません。
やはり知の巨人は人並み以上の記憶力なんですね。
本を繰り返し読む
試験勉強のための教科書や参考書なら、くり返し読む、というのもわかります。
しかし試験で良い成績をとるためではなく、自分の楽しみや教養のため読む本、たとえば小説など、皆さんは繰り返して読みますか?
私は、結末のわかっている本を繰り返し読む、なんていうことは滅多にありませんでした。
この辺の感覚からして知の巨人とは違うんですね。
本棚について
さて、著者と自分を比べても惨めになるだけなので、トットと次の話題に入っていきましょう。
著者が、書斎というより本に囲まれた生活に憧れるようになったのは、中学・高校当時に恩師の自宅を訪問し、天井まで積まれた書物の量に圧倒されたからのようです。
実は私も同じような経験をしたことがあります。
私が結婚してからのことですが、20代の後半ころ、近所に大学の先生をしていた方がいて、地域の自治会の要件でその先生宅を訪れたのです。
3LDKのマンションの1室が先生の書斎でしたが、窓と出入り口以外は全て本棚、といった感じの部屋でした。
先生曰く「読書だけが唯一の趣味。教養のため、岩波新書だけはほぼ全巻揃っており、今でも新刊が出ると全部買って読むようにしている。」とのことでした。
そういえば私の高校の時の物理の先生も「僕が自慢できることといえば、岩波新書だけは全巻読んでいることだけだ。」と言ってたんです。
私なんぞ、結婚して何度か引っ越しをする際、いつも場所がないからと本を処分してました。
大学生のころ「知的生活の方法」を読んで書斎に憧れた感情が、先生の書斎の本棚を見て、また再燃してきたのです。
ただ、私が名ばかりの書斎という一部屋を持てたのはずっと後のことです。
知的生活にはワインが必需品
著者はワインをたしなみます。
私が20代30代のころ、職場の飲み会はしょっちゅうありましたが、まだワインというのは一般的ではありませんでした。
「知的生活の方法」に触発されていた私は、自宅で生意気にも晩酌をする際、良くワインを飲んでいました。
しかしワインはどうしても好きにはなれず、今では結局グレープフルーツサワーがメインで、あとは焼酎か日本酒を飲んでいます。
そして書斎
本に囲まれた生活に憧れた著者は、大学生のころ図書館の一室に住んだことがあるそうです。
本に埋もれた生活を夢見る者にとって、たしかに図書館以上のところはありません。
詳しくは本に譲りますが、著者の書斎に対する思い、こだわりはかなりのものです。
私が書斎らしき部屋を持てたのは、子供が所帯を持って家を出ていってからですから、定年間近になってからです。
それも4畳半程度のささやかな空間です。
私の「書斎もどき」についてはまたあらためて紹介したいと思いますが、狭い空間に、昔からのあこがれであった大きな机とリクライニングできる社長椅子を入れ、私のくつろぎの空間になっています。
渡部昇一先生の書斎
著者は晩年、借金をして新たな書斎を構築しました。
これがすごい。
机に向かって座るとまさに本に囲まれている感じ。
渡部昇一先生の書斎をタレントの宮崎美子が紹介する「書痴の楽園」という動画があります。
これはDHCテレビが3年ほど前に製作したもので、当時はまだ渡部昇一先生もお元気でした。
私はYouTubeで全部再生して見ていましたが、今はもう見ることができないようです。
単に本を集めただけという蔵書収集家の書庫ならともかく、読んだ書籍ばかりを並べた個人の書庫で、こんな大きな書庫・書斎は日本でもそうないと思います。
さすが知の巨人はやることも違いますね。
惜しい人を亡くしました。
まとめ
私は、読書法や情報整理についてのノウハウが書かれた本が好きです。
読んでみて「これは使えるな」と思ったら先ず真似して実行してみる。
自分に合わなければ続かないだけのことです。
本書が刊行されてからもうすぐ半世紀になります。
今のようにパソコンやネットが普及していた時代ではありません。
したがって、内容的に古い部分も多いことは確かです。
真似する部分も少ないかもしれません。
でも、「知的生活」に対する思いや考え方は年月が過ぎてもそう代わるものではありません。
渡部昇一という知の巨人が、どのような「知的」人生を歩んできたのかを知るだけでも良い勉強になると思います。
また、必ずや「おっ、これは使える」という部分があるはずです。
シニアというよりも、若い人にぜひすすめたい1冊です。