貴志祐介著「悪の教典」残暑厳しい今、涼を求めて本を読もう。

読書
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こんにちは、たどんです。
高齢者がコロナに感染すると重症化する確率が高い、と言われています。
わたしは、気持ちは20代、身体はとっくに高齢者。
必要以上に怖がっているのかもしれませんが、どこにも遊びに行かず、仕事や日用品の買い出し以外は自宅でおとなしく、模範的な自粛生活を送っています。
時間があるので、今回はやや量の多い小説を読みました。
たまにはこんなホラー小説もいいのではないでしょうか。

「悪の教典」貴志祐介著

 
著者貴志祐介の作品は初めてではありません。
かなり昔、日本ホラー小説大賞を受賞した「黒い家」を読んだことがあります。
ホラー小説といえば海外の作品のほうが多いのでしょう。
でもわたしはどうもいまだに海外の翻訳本というのは苦手です。
登場する人の名前や地名が覚えづらいし、いまいち場所の感覚がピンときません。
したがってホラー小説に限らず、私の読む本は圧倒的に「国産」が多いのです。

簡単な内容

楽しく、思い出多い高校生活。
生徒のみならず、同僚教師やPTAからも信頼されていた若き男性教師。
しかしそんな教師がサイコパス(殺人鬼)だったら。
物語がすすむにつれ、その教師のサイコパスの片鱗(へんりん)が少年時代からあったことが明らかになっていく。

感想

できれば昼間に読もう

わたしは、基本的にホラー小説というのはあまり好みません。
怖いからです。
いつもは爽やかな読後感を味わいたいために読書をします。
ただ、自粛生活で、ある程度時間にゆとりがある今だからこそ、普段読まない本を読んでみようと思い、この本を手に取りました。
こんなヤツいるのか?
ちょっと現実離れしてるな。
とは思いましたが、まあホラー小説だからと納得しながら、また時には自分の高校生活を思い出しながら読みすすめました。
読み終わった感想は、
生き残ることができた生徒がいてよかった
わたしの高校生活は幸せだったな

無差別殺傷事件

この本を読んで頭に浮かんだ事件があります。
それは、2001年(平成13年)に大阪教育大学附属池田小学校で発生した、宅間守(たくま まもる)による無差別殺傷事件。
犯人は教師でもなんでもないが、学校内で発生した無差別殺傷事件ということでフト思い起こしてしまったのでしょう。
朝元気で学校に行った子供が、安全であるべき学校の中で、このような狂った男にその生命を絶たれてしまうなんて。
わたしはいつもこのような事件が起きると、先ず被害者やその家族のことを考えてしまいます。
犯人は、自分でも望んでいたこともあり、事件の3年後には死刑が執行されました。
しかしいくら犯人が死刑になったとしても、親御さんたちは納得できないのではないでしょうか。
1999年に発生した、光市母子殺害事件。
その遺族である本村洋さんが、第一審判決後「加害者を社会に早く出してもらいたい。そうすればわたしが殺す。」と発言。
一部の方からはその発言を非難する声も上がりました。
でもわたしは、これこそ被害者遺族の真の気持ちではないかと思います。

著者貴志祐介

著者は1959年生まれ。
代表作としては本書のほか、
「ISOLA」
「黒い家」
「硝子のハンマー」
「新世界より」
などがあります。
本作品「悪の教典」は、
・ 第1回山田風太郎賞
を受賞し、
・ 宝島社「このミステリーがすごい!2011」国内編第1位
・ 週刊文春「2010年ミステリーベスト10」国内部門第1位
にも選ばれています。

映画化

「悪の教典」は映画化されており、主役を俳優の伊藤英明がつとめています。
まさにピッタリの配役だと思います。
もし気になる方はアマゾンプライムビデオやHuluなどでも配信されていると思います。

余談

この小説のラスト。
ちょっとズッコケてしまいました。
昔、「悪の十字架」という怖い話がありました。
それに似ています。
「開(あ)くの10時か」

まとめ

なかなかの大作です。
時間にゆとりがある自粛生活中だからこそ読んだ、とも言えます。
本書は万人におすすめできる、というわけではありません。
ホラーが好きで、夜ではなく昼間読書できる時間がある方、もし興味を持たれた方がいらしたらチェックしてみてください。
 

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