中村彰彦著「名君の碑 」保科正之、こんな偉人がいたんだ!

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こんにちは、たどんです。
今回ご紹介するのは、じっくり読みたい歴史時代小説
中村彰彦著「名君の碑(めいくんのいしぶみ) ~保科正行の生涯~」
です。
派手なシーンはないものの、心にしみる1冊です。

本書の簡単な内容

徳川幕府を創設した徳川家康。
その息子で、第2代将軍秀忠の隠し子が保科正之。
本書はサブタイトルに「保科正之の生涯」とあるように、保科正之の出生から亡くなるまでのその波乱に満ちた生涯を描いた物語である。
秀忠の寵愛を受けたお静の方が懐妊、嫉妬深い秀忠の正室お江与の方の迫害から逃れ、伝手(つて)を頼って信州保科家に身を寄せる。
藩主保科正光は正之を養子とし、藩主としての教育を施すが、正之も分(ぶ)をわきまえた、いわゆる「足るを知る」人間に成長する。
その後正之は、3代将軍徳川家光に側近として重用される。
家光は、正之の異母兄にあたり、正之の自分の分をわきまえた誠実な人柄に信頼をおき、正之もその信頼に応える働きをする。
家光の死後も4代将軍徳川家綱を支え続け、その後の200年以上に及ぶ徳川長期政権の基礎を築くのに貢献した。
また正之は、会津藩の藩主としても藩政に力を注ぎ、産業の振興と育成にも努め、その後長く続く会津藩の基礎を築いた。

年末時代劇スペシャル「白虎隊」(びゃっこたい)

シニアの方なら覚えている方も多いでしょう。
昔、テレビで年末年始というと長編時代劇ドラマを放送してました。
この「白虎隊」も、1986年12月30日と12月31日の2日にわたり、日本テレビで放送されたものです。
当時はまだ「ビデオ」があまり一般的ではなく、私なんかもテレビの前に釘付けになって見たものです。

本書「名君の碑」と何の関連があるの?

それがあるんですよね。
白虎隊といえば会津藩。
会津藩といえば会津藩の礎(いしずえ)を築いたのが会津藩初代藩主保科正之なんです。
幕末、会津藩は、薩長連合軍(いわゆる官軍)に、最後まで徹底抗戦し、白虎隊の切腹という悲劇にもつながったことは有名ですね。
会津藩は徳川御三家でもないのになんでそんなに徳川幕府に義理立てする必要が会ったのでしょうか。
私も本書を読んで初めて知りました。
ここではネタバレになってしまうので書きませんが、興味を持たれた方は是非本書を読んでみてください。

ドラマ「白虎隊」の記憶に残るシーン

この「白虎隊」にはいくつもの記憶に残る名シーンがあります。
また別の機会にドラマ「白虎隊」の紹介をしようと思っていますが、ここでは個人的に記憶に残っているシーンをひとつだけ。
それは、女性の自決シーンです。
森繁久彌演ずる会津藩士・井上丘隅。
その次女が神保雪子です。
この神保雪子を池上季実子が演じていました。
ドラマの最後の方で、池上季実子が官軍に捕らえられてしまうのですが、官軍の幹部(たしか勝野洋演じる土佐藩士だったと思います)に自決のための刀を借り受けます。
そして、自決後足が乱れないよう着ていた和服の腿と裾を帯できっちり縛り、自決します。
なぜかこのシーンが何年も記憶に残っているんですよね。
その他にもまだまだありますが、もうやめておきます。
ちょっとこのブログの本題から外れますが、ドラマ「白虎隊」名作です。
まだご覧になっていない方、見ないと人生の損ですよ。

NHK大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」

ご存知NHK大河ドラマです。
「江(ごう)〜姫たちの戦国〜」は、2011年に全46回で放送されました。
徳川幕府の第2代将軍徳川秀忠。
その正室「江」の物語です。
「江」は、織田信長の妹お市の方と浅井長政の娘三姉妹の三女、上野樹里が演じました。

本書「名君の碑」と何の関連があるの?

それがおおいにあるんです。
特に本書の初めの部分で関係してきます。
保科正之は徳川秀忠の寵愛を受けたお静の方の子供です。
一方、「江」(本書の中では『お江与の方』)は徳川秀忠の正室です。
本書では「お江与の方」は嫉妬深い、実にイヤーな女性として書かれています。
でも、ドラマの「江」は明るく奔放聡明で素敵な女性として描かれています。
どっちの「江」(お江与の方)が真実なのでしょう。

ドラマの評判は今ひとつだった

ドラマの配役は、
・ 長女「茶々(後の淀殿)」が宮沢りえ
・ 次女「初(後の近江国の京極高次の妻)」が水川あさみ
・ 三女「江」が上野樹里
と、まさに美人3姉妹。
「江」夫徳川秀忠は向井理でした。
ドラマ自体は、「史実と違う部分が多い」「江がはしゃぎすぎ」などと結構批判が寄せられたようです。
でも私は、2004年の映画「スウィングガールズ」を見て以来、上野樹里のファンだったので、ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」も楽しく見させていただきました。

本書の読みどころ

派手なチャンバラシーンはないが

剣の達人が活躍する時代小説と異なり、本書は歴史時代小説とでもいうのでしょうか。
史実に忠実に、淡々と物語がすすめられる、そんな感じです。
信州保科家に身を寄せた正之。
藩主保科正光の藩主教育の影響もあって、忠誠心に厚い、分(ぶ)をわきまえた「足るを知る」人間に成長していく過程は読んでいて面白いです。
その後正之にとっては異母兄にあたる3代将軍徳川家光に登用され、以後徳川幕府の幕閣として徳川長期政権の基礎を築いていく。
その過程も読み応えがあります。
チャンバラというのも古い言い方ですが、派手な斬り合いのようなシーンはありません。
したがって、〇〇必殺剣、〇〇流、〇〇剣の奥義、などが出てくる小説を読みたい方には物足りないかもしれません。
歴史に埋もれていたけれど、こんな人物もいたんだ、と新たな発見ができる小説です。

徳川長期政権の礎(いしずえ)を築くための苦悩

第3代将軍徳川家光の将軍在職期間は1623年〜1651年。
徳川江戸幕府が創設されたのが1603年だから、創設から20年後に家光が将軍職についたわけです。
したがって、その政権を維持するには様々な問題を抱えていました。
保科正之は、
・ 玉川上水の掘削を推進
・ 明暦の大火(1657年)からの江戸の復興
・ 莫大な費用のかかる江戸城の天守閣構築の中止を進言
などの功績を上げ、徳川幕府のために尽力しました。
また、藩主を務める会津藩にあっても
・ 社倉制度を創設して飢饉でも餓死者を出さなかった
・ 子供の間引きを禁じた
・ 医療制度の創設
などの功績をあげたようです。
現代でも行政が何かの施策を実行しようとすると必ず反対する者がおり、行政の責任者は大変な思いをします。
当時は封建制度であった、ということを差し引いたとしても、反対する幕閣はいたであろうし、反対する者を説得するには大変な苦労があったことと思います。
自分のためではない、幕府や万民のため、という無私の境地にある保科正之の思いを皆が知っていたからでしょう。
見事に各種施策を実行し、成功させています。
本書ではその過程が、保科正之の胸中とともに描かれており、読み応えがあります。

作者中村彰彦

中村彰彦(なかむらあきひこ)は、1924年(昭和24年)生まれ。
平成3年まで文芸春秋に勤めた後、作家となります。
・ 第10回エンタテインメント小説大賞
・ 第1回中山義秀文学賞
・ 第111回直木賞
・ 第24回新田次郎文学賞
などを受賞しています。
本書以外の代表作としては
・ 幕末入門 (中公文庫)
・ 新選組全史 幕末・京都編 (角川文庫)
・ 二つの山河 (文春文庫)
・ 明治無頼伝 (角川文庫)
・ 保科正之―徳川将軍家を支えた会津藩主 (中公新書)
などがあります。

まとめ

今回の記事も話がだいぶ横道にそれてしまいました。
でも当ブログは、本の他に、テレビドラマと御朱印のテーマにしたブログです。
今回は、本書「名君の碑」の他に、大河ドラマも2つご紹介できたので、個人的には満足しています。
私のつけている読書記録には
「保科正之。名前は聞いたことがあるがその人物については全く知らなかった。徳川家光の時代のことだそうだが、もっと江戸時代の後半に出てきた人物かと思っていた。徳川幕府の幕閣にも優秀な人材がいたのだなあ。」
などと書いています。
本当に本書を読んで、保科正之という新たな知識を得ることができました。
読書って本当にいいもんですね。
 

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