遠藤周作著「沈黙」信仰か命か。信教の自由の有難さを再認識。

読書
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こんにちは、たどんです。
コロナで自粛生活を送る中、前から気になっていた本を、なんの脈絡もなしに読んでいます。
今回紹介する本は、遠藤周作著「沈黙」。
以前、同書が映画化され、その映画を見ていつか本も読んでみたいと思っていました。

簡単な内容

江戸時代の初期、キリシタンがご禁制となり、島原の乱も鎮圧されて間もないころのお話です。
主人公はスペインの宣教師ロドリゴ。
ロドリゴの尊敬するフェレイラ師は、布教のため日本に渡っていたが、その師がキリスト信仰を捨てたと聞き、どうしても自分の目でその真意を確かめたく、日本にやってきた。
やっとの思いで日本にたどり着いたロドリゴは、日本の隠れキリシタンが拷問にあい、死刑にされる光景を目撃することになる。
ロドリゴは神に祈り、救いを求めるが、神は「沈黙」を続けるのみであった。
そんな中、ロドリゴの師であるフェレイラに会うことができた。
しかしフェレイラは・・・。

感想

サラッとは読めない

昔、著者の「ぐうたら生活入門」というエッセイを読んだことがあります。
ユーモアエッセイとも言うべき内容で、非常に読みやすかったことを覚えています。
しかし「沈黙」は、江戸時代が背景となる小説なので、多少文章も現代風じゃないのは仕方ないですね。
現代小説のようにサラッと読むのは難しいと思います。

信仰について考えさせられます

わたしはどちらかといえば無宗教、無信心です。
でも、反面、信仰のある人はうらやましい。
心の支えとなるようなものを持っていると感じるからです。
信仰はあくまでも心の支えであって、何かあったときに奇跡を起こしたりして物理的に助けてくれるわけではない、と著者は言いたいのでしょうか?

踏み絵

神は「沈黙」を続け、キリシタン信者は信仰を捨てることを迫られ、「踏み絵」を迫られます。
拷問にあい、処刑させられるかもしれない、そんな選択を迫られたらわたしなら躊躇なく「踏み絵」を踏んじゃいます。
もっとも信仰がないからそんな簡単に決められるのでしょう。
ロゴリゴの揺れ動く心理描写。
これは洗礼を受けた著者だからこそかけた文章だと思います。

おぎん

本書を読んで思い出したのは、青空文庫で読んだ芥川龍之介著「おぎん」です。
「おぎん」もキリシタンを棄教する物語。
非常に短編ですのであっという間に読めますが、内容は深い。
この「おぎん」も、ちょっとしたヒマつぶしにはおすすめです。

自粛生活中の今だからこそ

わたしは本来スカッと爽やかな小説が好きです。
読んで暗くなるような小説よりも、ワクワク楽しくなる小説のほうが精神衛生上もいいですよね。
しかしノーベル文学賞候補と目された我が国の作家の本を読むのも日本人としては重要なこと。
自粛生活中の今だからこそ読めるのかもしれません。

映画

「沈黙」は映画化されてます。
その映画を見ましたが、やはり映画のほうがインパクトが強いです。
文字だけでなく映像で見ると記憶にも残りやすいですね。
この映画もなかなか見応えがあり、おすすめです。

著者遠藤周作

1923年生まれ、1996年没。
著作には、本書のほか、「海と毒薬」「侍」「深い河」、そして狐狸庵先生としてのユーモアあふれるエッセイも多く、芥川賞をはじめとして、各種文学賞を受賞、ノーベル文学賞候補とも言われた時期のある作家です。
わたしが最初に著者を知ったのは、テレビのコーヒーのCMでした。
ネスカフェゴールドブレンド「違いがわかる男」シリーズです。
そして「ぐうたら生活入門」という本も読んでみましたが、以来著者の本からは遠ざかっていました。

まとめ

歴史上、宗教に起因する戦争が数多く発生しています。
わたしは無宗教の人間ですが、信仰を持つことは素晴らしいことだと思っています。
自分の心の支えとするため、精神の安定のため、信仰を持っている人がうらやましいと感じることもあります。
わたしは、面白い本を読むのがシニアの読書だと思います。
したがって、普通ならこのようなどちらかといえば暗い本は読みません。
コロナの影響で読書の時間に余裕がある今だからこそ「沈黙」を読んだ、と言えます。
本書を皆さんにおすすめするものではありませんが、もし興味を持たれた方がいらしたらチェックしてみてください。
 

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