宮部みゆき著「孤宿の人」チャンバラだけが時代小説じゃない。

読書
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こんにちは、たどんです。
本日ご紹介するのは、宮部みゆき著「孤宿の人」です。
宮部みゆきといえば日本を代表する人気作家の一人です。
ミステリー・サスペンス部門では、多くのヒット作を生み出しています。
その宮部みゆき、現代小説ばかりではなく、時代小説も手がけていることは知らない方も多いようです。
本作「孤宿の人」も非常に評価の高い作品です。

簡単すぎるあらすじ

時は江戸時代。
舞台は四国、讃岐国にある小国・丸海藩。
江戸の商家の若旦那が、その女中に産ませた女の子「ほう」。
9歳の時、捨て子同然に、丸海藩の藩医のところに預けられる。
天涯孤独の「ほう」が、慕っていた人の死や時代の荒波に翻弄されながらも、強く生き抜いていく物語。

設定がやや強引?

讃岐国といえば、今の香川県ですね。
「ほう」を生んだ母親は、「ほう」を生んだ後に他界。
江戸のとある老夫婦のところに預けられていた「ほう」が、9歳の時に、修験者の厄払いのお告げ、により、四国・讃岐の譜代大名で、3万石の小藩・畠山丸海藩の藩医のもとに預けられた、という設定です。
丸海藩というのは著者宮部みゆきの創作のようですが、そのモデルは丸亀藩のようです。
江戸で育った少女が、奉公に出される、という話はよく聞きますが、四国のような、当時としては遠い国に預けられるなどという話はあまり聞いたことがありません。
本書を読み始めてすぐ、個々の設定が気にかかりましたが、まあ小説だから、と読みすすめました。

チャンバラ場面は期待しないでください

少女「ほう」の物語です。
したがって、時代小説特有のチャンバラ場面はあまりありません。
剣客が派手に斬りあう場面は期待しないほうが良いでしょう。
私も、これまで読んできたほとんどの時代小説は、剣の達人が出てきて、悪い奴らをバッタバッタと切り倒していく、という小説がほとんどでした。
そのような小説が好きな人にとっては、本書は若干物足りないかもしれません。

香川県の思い出

本書の舞台となった香川県。
もう20年も前の話ですが、仕事の出張で行ったことがあります。
当時はもう香川県といえば「讃岐うどん」が有名で、もちろん私も、仕事の合間を縫って「讃岐うどん」を何件かハシゴしました。
麺好きの私としても、あのシコシコ感、歯応えはたまりませんでした。
うまかったなあ。
高松市内も結構人が多く、香川の方には申し訳ありませんが、こんなに発展してるとは思っていませんでした。
ところが翌日。
お隣の徳島県に行ってびっくり。
徳島駅でおり、駅前のターミナルに出た所、閑散としてました。
県庁所在地のメインの駅、と聞かされていたのにほとんど通行人がいないんです。
香川県と徳島県のあまりの違いに驚かされました。
徳島の方、すみません。
ただ、香川県も、本書の舞台となった丸亀の方には行きませんでしたし、また当時はまだ本書も読んでいませんでした。
しかし本書を読みながら、常に当時の香川県の様子を懐かしく思い浮かべていました。
やはり、自分が住んでいるところとか、行ったことのある場所が舞台になっている小説というのは、なんか親近感がわきますよね。

宮部みゆきの著作

読書好きでなくとも、日本人ならば、宮部みゆきという女流作家の名前は知っていると思います。
したがって、宮部みゆきのプロフィールや受賞歴など細かいことは申しません。
もともと宮部みゆきといえば、
・ 龍は眠る
・ 火車
・ 理由
・ 模倣犯
・ 名もなき毒
など、現代版ミステリー小説が有名です。
ただ、これら現代版ミステリー小説と並行し、宮部みゆきは以前から
・ 霊験お初捕物控
・ ぼんくら
などといった時代小説も書いていました。
「霊験お初捕物控」のお初シリーズや「ぼんくら」のいわゆるぼんくらシリーズも、派手な殺陣を期待するのではなく、ミステリー時代小説として読めば面白いと思いますよ。
本書「孤宿の人」も、妻子や側近を惨殺したカドで流罪になった幕府要人の加賀殿が、丸海藩の屋敷に幽閉されるため護送されてくることになりますが、丸海藩に不審死や不慮の事故が起きるようになる。
まさしくミステリーの要素が絡んでくるわけです。
まるで悪魔のように思われている加賀殿と、本書の主人公「ほう」が心を通わせていく流れなど、さすが宮部みゆき、と感じます。

まとめ

いろんな書評を見ると
・ 宮部みゆきの時代小説の最高峰だ
・ 感涙、まさに傑作
・ 純文学の感動に震えた
などと皆さん非常に高い評価を与えています。
一方、私がつけている読書記録には
上巻は、
「ほう」という可哀想な身の上の女の子の話かな?
下巻は、
上巻よりは面白いが、「ほう」が慕っていた人が次々死んでしまい残念。
本書の解説で、今は亡き児玉清はべた褒めしていたが、私は?
という感想が書かれています。
正直言って、私にはあまり合わなかった小説だったようです。
私は、書評が好きで、書評本なんかも結構買います。
また、各種文学賞も自分が本を選ぶときの参考にしています。
ただ、本というのは読んでみなくてはわかりません。
また、他人の感想・評価というのはあくまで参考です。
したがって、私のブログも「あっ、そうね」くらいの感じで読んでいただければ私も気が楽です。
 

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