宮城谷昌光著「重耳」人望熱き男の生涯。読後感爽やかな物語です。

読書
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こんにちは、たどんです。
 
今回ご紹介するのは、宮城谷昌光著「重耳」、講談社文庫(上・中・下)全3冊の長編歴史小説です。

私のブログの「あらすじ」の書き方について

巷(ちまた)には読書ブログが溢れています。
 
私も、これまでいろいろな読書ブログ、書評を拝見させていただいています。
 
そしていつも思うんです。「本当に読書家っていっぱいいるなあ」と。
 
でも、また、「結構あらすじに字数をさいてるなあ」とも思います。
 
私は、長いあらすじは読む気になりません。
 
というのも、
・ 大体のあらすじがわかってしまうと読む意欲が半減する。
・ 現代日本を描いた小説ならば、まだシチュエーションが理解できるが、これが、外国の話や歴史小説となると、あらすぎの内容自体がよく理解できない。
からです。
 
冒頭から生意気なことを話してしまいました。
 
還暦過ぎのジジイのたわごと、ということで勘弁して下さい。
 
そこで私は、書評や読後感を書く際には、あらすじはごく簡単に書くようにしています。
 
今後も、この方針はほぼ変わることはないと思います。
 
さて、「重耳」です。

「重耳」のごくごく簡単なあらすじ

ところは中国、紀元前1000年ころの話である。
 
当時栄華を誇っていた周(王朝)という国が衰退しつつあり、周囲には小さな国が割拠していた。
 
晋という国があった。
 
その晋の国王の次男が重耳である。
 
重耳はその人柄から人望もあったが、国王の世襲争いのとばっちりを受け、国外を放浪する身となってしまう。
 
国王は、重耳の弟が即位したが、その後死去。
 
そして重耳は、周囲の助けもあって、晋の国王を即位する。
 
その時重耳は60歳を過ぎていたが、部下とともに晋を繁栄させる。
 
以上のように、本書は、国王の次男として生まれながら、国を追放されるが、19年に及ぶ放浪の末に国王に即位する、という、いわゆるハッピーエンドの物語です。
 
日本の戦国時代の武将でいえば、低い身分から努力して、出世の道を駆け上がる「太閤記」の豊臣秀吉ではなく、大名の子供として生まれた織田信長や徳川家康に近いといえます。

著者宮城谷昌光と作品について

宮城谷昌光という作家。
 
古代中国の歴史上の偉人を題材とした小説を多く書いています。
 
中国の有名な歴史書「史記」をはじめとした書籍に精通しており、今回の「重耳」もそうですが、小説のところどころに漢籍に関する知識が散りばめられています。
 
私は、「重耳」の他にも「楽毅」「晏子」などを読んでいますが、漢籍についての挿話はどの小説にも見られます。

そのような部分まで真剣に読み込めば、中国の歴史や漢籍について非常に勉強になるとは思います。

ただ、作者には申し訳ないんですが、私はそういう部分はほとんど流し読みしています。
 
私は、小説の一字一句を追うよりも、ストーリー展開を大事にしたいからです。
 
私のような読み方は、作者に対し失礼なのかもしれません。
 
でも私は、自分で楽しむために小説を読んでいるのであり、勉強するためではありません。
 
これからも自分の読書スタイルを変えることはないでしょう。

勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」の宮城谷昌光評

以前紹介した勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」(草思社文庫)の中で、著者は宮城谷昌光について、あまり良い評価はしてません。
 
勢古浩爾さんは宮城谷昌光の作品が好きではないようです。
 
勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」は、定年後の私の水先案内人です。
 
でも、食べ物と一緒で、読書にも個人の好みがあり、他人があまり面白いと思わない小説であっても自分には面白い、という本もあって当たり前。

 
私は、勢古浩爾さんの本を面白い小説を探すための手段として活用しているのです。
 

もちろん勢古浩爾さんがすすめる作品を全部読もうなんて毛頭思ってはおりません。

 
例えば勢古浩爾さんがすすめる「戦記物」などは、私はどうも読む気にはなりませんし、読みたい気が起きるまで無理して読むつもりはありません。
 
「介子推」「孟嘗君」「奇貨居くべし」など宮城谷昌光の著作で読んでない本はまだまだあります。
 
私にとって宮城谷昌光は、お気に入りの作家の一人ですので、今後も機会を見て宮城谷作品を読んでいきたいと思っています。

まとめ(「重耳」の感想)

宮城谷昌光著「重耳」、全3冊の長編ですが、面白い。
 
私は、どの小説を読んでもそうなのですが、初めの30ページぐらいまでは、まだ物語に入り込んでいないからでしょう、あまり面白いとは思いません。
 
ところがだんだん面白くなってきて、それこそ「ページをめくる時間も惜しい」ような状態になっていきます。
 
この「重耳」もそうでした。
 
1日1冊ペースで、ほぼ3日で読了しました。
 
私は、苦難の末に栄光を掴み取る、ハッピーエンドの物語が好きです。
 
日本の時代小説でいえば「太閤記」のような。
 
例えば、司馬遼太郎著「竜馬がゆく」、素晴らしい小説です。
 
でも、最後に主人公の竜馬が暗殺されてしまうのがどうも・・・。
 
史実なので仕方ないことなんですが。
 
日本の戦国時代もそうですが、中国も、昔の春秋戦国時代には多くの英雄・偉人がいたようです。
 
「重耳」もその中の一人で、外国の何千年も前の歴史上の人物にスポットを当て、ストーリーを組み立て、小説にしていく。
 
とても私にはできません。
 
宮城谷昌光のような才能ある方が書いた小説を読むだけで十分幸せです。
 
宮城谷昌光著「重耳」おすすめです!

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